2020/12/13
エロスのなぜ。 貴女のエロスに火をつける。興奮を呼び起こし、それを記憶するホルモン ドーパミン
今回はドーパミンについてです。ドーパミンは脳内では神経伝達物質として働き、報酬系で「意欲」と「学習」について働いています。
報酬系ではドーパミンの刺激により、エンドルフィン、オキシトシン、セロトニンが脳内で分泌され快感、多幸感、安心感が産み出されます。
つまりドーパミンは快感を得るために意欲をかきたてるファシリテーターです。そして、学習によって、どんなことで興奮し、快感を得たのかという情報を蓄えておく、記憶の役割も担います。
楽しいことを思い浮かべてわくわくしたり、こっぴどく怒られたことのある上司と喋っただけで緊張したり、実際に起きてなくても思い出すことでいろんな感情が沸き起こりますよね。
それが感情の学習であり、ドーパミンが活躍しています。
ドーパミンが起こす興奮は「嬉しい」といったよい興奮であっても「恥ずかしい」、「悔しい」といった悪い興奮であっても強い刺激であれば同じ興奮として報酬系での脳内ホルモンの分泌を促します。
性行為のとき、ドーパミンの刺激により興奮が報酬系に伝えられ、脳内ホルモンの活性を呼んでオーガズムまで引き起こします。よかったことはまた経験したいと思うように報酬系の快という感情はまた同じことをしたいと欲求を産み出します。その連鎖は依存を形成します。
SMのように辱め、縄による苦痛、鞭による痛み、蝋燭の熱さといった強い感情もまたドーパミンによる強い刺激として報酬系の脳内ホルモン分泌を促します。
そのときには脳内麻薬のエンドルフィン、幸福感のオキシトシン、安心のセロトニンの分泌を促します。
よい刺激であろうが、悪い刺激であろうが、ドーパミンにより脳内ホルモンが刺激され報酬系のホルモンを働かせます。そしてその刺激は記憶され、再びその刺激を欲するようになります。
SMを経験してまたその刺激を求めてしまうのは脳内ホルモンの働きから考えると理にかなっていることなのです。
ドーパミンはチロシンというアミノ酸から作られ、さらにアドレナリン、ノルアドレナリンという心臓の拍動を刺激し、血管を収縮させ血圧を高める働きを担っていました。すなわち自律神経の神経伝達物質の前駆物質として考えられていました。脳内で報酬系を刺激する神経伝達物質としての仕事は後から知られました。
そして脳内でドーパミンが欠乏することによる病気がパーキンソン病です。
ドーパミンは脳内で報酬系以外に、運動をする神経に対して運動を抑えるために働き、制御された動きができるように調節する役割があります。パーキンソン病によりドーパミンが足りていないと、歩こうとしても足が前に出にくいとか、関節が歯車のようにしか曲がらないなどの不都合が生じます。そしてこの症状は脳梗塞や薬の副作用としても認められるようになります。
ドーパミンにはもう一つ、特殊な働きがあります。それは「記憶」の働きです。
運動、それは人の体の動きを指し、身体が勝手に覚えてくれるものもあります。
いままで何気なく、身体が勝手に覚えるという現象を感じてましたね、それには根拠があることをご存知でしたか。
それはまさしくドーパミンが運動を記憶するために働いているからです。
ドーパミンによって、人の身体は興奮を起こした刺激を覚えることができます。その興奮を起こす刺激、褒められる、昇進する、給料をもらえるなど良いものなら私たちにとって嬉しいものですが、残念ながら嬉しくないキッカケも強い刺激として記憶されます。
怒られる、恥ずかしい思いをする、怖いなどといった感覚も覚えているわけです。
ドーパミンの刺激により報酬系のなかでエンドルフィンやオキシトシン、セロトニンなど幸福をつくるホルモンが分泌されますが、このような嫌な感覚でもドーパミンが働いて幸福をつくるホルモンが分泌されるわけです。報酬系で快と捉えられるため、また欲しくなります。そしてその刺激は記憶されるため依存的にすらなります。
そして、経験一つ一つをどう処理していいかわからない思春期前のころに性的体験をもった方の場合、大人になってもその体験が記憶から離れず、無意識に似たような体験を求めてしまうのが、このドーパミンをもとにした報酬系の働きともいえます。
ドーパミンからはアドレナリン、ノルアドレナリンが作られ、血管や心臓に働きかけて血圧を上げます。興奮状態は血圧が高いし、心拍数も高くなっています。
ドーパミンは身体を活発にする意味でも、意欲のような気持ちの意味でも興奮を呼ぶホルモンです。そして、興奮がスムーズに脳から手足の末端まで伝わるように動きのバランスもとるのもドーパミンです。
このドーパミンが無ければ、歩こうとしても足が前に出にくいとか、関節が歯車のように
しか曲がらないなどの不都合が生じます。
【結論】
ドーパミンの報酬系への役割は「意欲」と「学習」である。
ドーパミンの刺激によりエンドルフィン、オキシトシン、セロトニンの分泌が促進され、快感、多幸感、安心感が生じる
嬉しい刺激も、嫌な刺激も強い興奮として報酬系に伝え、依存形成を起こす。
ドーパミンには欠乏によるパーキンソン病を起こし、脳梗塞や薬物の副作用としでも似た経過をたどる。